舞洲の活性化に取り組む~学生舞洲プロジェクトの取り組み

先日も本項で紹介した「学生舞洲プロジェクト」が、いよいよ本格的に動き出した。

舞洲を学生目線で盛り上げることを目的に立ち上がったこのプロジェクトが、今年度のテーマとして掲げているのが、『舞洲のアクセス向上』だ。

 

 現在、舞洲にアクセスする公共交通機関は、JRゆめ咲線・桜島駅、JR大阪環状線・西九条駅、大阪メトロ・コスモスクエア駅からの発着となるバス交通のみとなっている。しかしこれらの本数が限られており、舞洲で大きなイベントがある日などは遅延や定員オーバーによる積み残しといった問題を指摘する声があることも事実だ。交通機関も全力で対応に当たっているが、イベントの集客増加がそれを上回っている。こうした『交通問題』が、実際以上にイメージとして浸透しているという声もある。

 学生舞洲プロジェクトのメンバーも、それを実感しているようだ。彼らが同年代の人間に対して舞洲のイメージを聞くと、『舞洲は行き難い』という答えが返ってくることも少なくないという。果たしてその実態はどうなのか、そしてそこに改善策はあるのかということを探るというのが、現在、学生舞洲プロジェクトが取り組んでいるテーマだ。

最終的には調査結果に基づき、舞洲活性化への提案を策定し、関係機関に提出したいと考えている。

 

 

 そのための調査を11月10日、大阪エヴェッサのホームゲーム当日、先述の3駅で行った。この流れについて学生舞洲プロジェクト代表を務める大平航暉くん(大阪市立大学3年生)に話を聞いた。

「今回の調査に先立ち、10月27日にプレ調査を行いました。これは今回の調査を行う上での仮説を立てるためでした。今日と同じく日曜日で大阪エヴェッサのホームゲームが行われる日ということで、似た条件だと判断したためです。そのときは11時から17時まで、3駅で目視による乗降客数のチェックが中心でした。そこでバスの絶対的な本数に不満を持っている利用者が多いような印象を抱きました。今回の調査では、それが事実なのかを検証するという意味合いもあります。バス利用者の方が本数や発着駅についてどのような感想を持っているかという点を中心にリサーチしたつもりです」

 

 調査方法は、大阪エヴェッサの試合会場である「おおきにアリーナ舞洲」の入り口でアンケート用紙を配布、記載されたQRコードからアンケートサイトへ誘導、回答してもらうという方法を採用した。回収率を高めるために、大阪エヴェッサの協力を得て、回答者の中から抽選で10名に公式タオルをプレゼントというインセンティブも用意した。

実際に配布した数は凡そ2,000。当日の入場者数が3,078名であったことを考えると、かなりの配布率だ。寄せられた回答数は753件。30%を超える回答率は、アンケートとしてはいい数字だ。

これについて大平くんは「アンケート用紙を受け取ってくださった方が、概ね好意的な反応でしたので、ある程度の回答数は期待できるかなと思っていましたが、予想以上でした。大阪エヴェッサさんのご協力を頂き、公式タオルをプレゼントとして用意できたことも良かったと思います」と語っていた。

 

 

 以下にアンケート結果を見ていく。

 

交通手段を問う最初の設問「本日は何で来場されましたか?」だが、用意された選択肢はバス、自家用車、タクシー、バイク、自転車の5つ。

最も多かった答えは自家用車だった。比率は63%と圧倒的だったことを考えると、舞洲への公共交通でのアクセスが難しいことは、ある程度周知されていると言えるだろう。

次に多かった答えはバス。こちらは自家用車の約半数で32%だった。この上位二つで95%を超えていることを考えると、舞洲へのアクセスは2択に絞られていることが判る。

 

自家用車で来た人に対しては、駐車場についての質問も用意されていた。その結果を見ると「会場までの距離」、「空き状況」、「料金」それぞれに対して、大きな不満を持っている人は少ないようだった。ただし、これはこの日限定の話であり、舞洲で別のイベントが開催されていたとしたら、全く異なる結果になったことは間違いないだろう。イベントが1つであれば、舞洲は自家用車を受け入れるスペースがあることは間違いないが、その数には限りがある。またイベント(試合)終了後の帰宅時間は交通が集中するため、帰宅後に「渋滞について」の感想を尋ねたならば、ネガティブな意見が多かったであろうことは充分に想像に難くない。

舞洲へのアクセスとして此花大橋に集中する構造がある以上、やはり公共交通機関の利用を促すことは、自然な流れだと言える。

 

 

その公共交通機関であるバスについてだが、これは面白い結果が出た。

 

舞洲へのバス利用回数を尋ねた質問に対しては、「初めて」、「2~5回」、「6~10回」、「10回以上」という選択肢があったのだが、ほとんどバラツキがなかったのだ。これは大阪エヴェッサの試合に来場する際は、「バス利用」が手段として根付いていることを示している。回答のバラツキは、そのまま大阪エヴェッサの試合観戦回数と受け取ってもよさそうだ。

 

満足度については、「本数」、「待ち時間」、「料金」、「停留所の場所」、「車内環境」という5つの観点から尋ねていた。

この中で本数以外の4つに関しては、普通と答えた人が最多だった。特に停留所の場所については、スタジアムの正面に着くということもあり、満足と答えた人も目立っていた。

問題は本数だ。

これについては45%近くの人が不満、あるいは大変不満と答えている。特に来場回数の多い人ほど、不満の率が高いことは注目に値する。

 

この結果について大平くんは「予想以上に自家用車での来場が多かったというのが、正直な感想です。またバスでの来場については、大阪エヴェッサさんの告知も奏功しており、『エヴェッサの試合を見に行くときはバスで』という認知は進んでいると思いますが、その中で本数が不足していると感じられているのは、特に試合終了後の帰宅時なのだと思います。来場時にはバラツキがあっても、帰宅時にはそれが集中してしまいますので、そうした感想が多くなるのだと思います」と語っていた。

対策について尋ねると、「当初はバスの増便を提案できればと思っていましたが、バス停での目視によって、ドライバーの数に限りがあることがわかりました。運転手の不足は、この路線だけではなく、全国的な傾向であることを踏まえれば、単純に増便を提案すれば良いというものではないとも思います」との答えが返ってきた。

実際にバスを運行する北港観光バス株式会社、大阪市高速電気軌道株式会社とも、時刻表の策定においては、そうした印象を与えないよう注力しているが、全てのニーズに対応できていないことも事実だ。

 

アンケート数字からは見えてこない感覚的な部分も把握することができたという点は、今回のアンケートの収穫といえる。

 

学生舞洲プロジェクトでは、今回のアンケート結果を踏まえ、更なる仮説を立て、その実証実験として12月15日にも、再度アンケートを実施する予定だ。その結果を踏まえ、1月のアクセス改善案を提示を目指している。

 

(左から)田渕真羽さん(大阪市立大学1回生)、小林香穂さん(大阪市立大学3回生)、清川航己くん(立命館大学3回生)、大平航暉くん(大阪市立大学3回生)、與語一樹くん(大阪市立大学3回生)

 

アクセス改善という、舞洲の活性化に直結するテーマに取り組む学生たちの取り組みには、大いに期待したい。


学生舞洲プロジェクトでは、一緒に活動できる仲間を募集しています。応募資格は大学生であること。活動は月に2回程度、大阪市内でのミーティングが中心となります。興味のある大学生は舞洲プロジェクトまでメールでお問い合わせください。特に大学1回生、2回生の方の参加をお待ちしています。

 

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