舞洲のアクセス改善に向けて~学生舞洲プロジェクトの取り組み

舞洲へのアクセス手段として中核を担っているのが、バス交通。JR大阪環状線 西九条駅、桜島線(ゆめ咲線) 桜島駅、ユニバーサルシティ駅、大阪メトロ コスモスクエア駅といった複数の駅から、舞洲各所を巡るバスが運行されている。しかし、舞洲を訪れたことのある人ならばお分かりいただけると思うが、運行状況は需要に対して十分とはいえないのも事実だ。
 大阪エヴェッサのホームゲーム、オリックス・バファローズのウエスタン・リーグ公式戦といった定期開催されているイベントだけではなく、サマーソニックや高校野球大阪地区予選など、様々な大型イベントが開催される舞洲だけに、この「アクセス問題」は無視できない。
 今回は、この問題解決を目指し、「アクセス改善プロジェクト」を発足させた学生たちの取り組みを紹介する。

 


 

2019年9月12日、大阪市内で「舞洲スポーツ振興事業実行委員会 第6回実行委員会」が開催された。参加するのは大阪市、大阪エヴェッサ、オリックス・バファローズ、セレッソ大阪を中心とした、関係団体の面々。そこで一つの興味深い発表が行われた。

発表者は「学生舞洲プロジェクト」。大阪市立大学3回生の大平航暉くんを中心に、スポーツビジネスを実地で学ぶべく集まった大学生たちが立ち上げた組織だ。元々スポーツビジネスに興味を持っていた大平くんは、2年前に「舞洲プロジェクト」の立ち上げ直後から、ボランティア活動などを通じてその活動を見てきた。その後、自分たちにもできることがあるのではないかと考え、大学の仲間たちに声をかけ、同じようにスポーツビジネスに興味を持つ学生を集めていった。Bリーグ、NPB、Jリーグといった人気スポーツのチームが参加しているプロジェクトということもあり、一時は30人近いメンバーが集まったという。しかし、卒業、就職活動など、学生としての日々の中で活動は縮小していった。そんな中で、プロジェクトのメンバーから「一つのテーマを決めて、それに取り組んでいってはどうか」というアドバイスを受け、取り組みを決めたのが、この「アクセス問題」というわけだ。

 

「舞洲のアクセス問題」とは

 

プロの公式戦や野外フェスといった大規模イベントにスポットの当たることの多い舞洲ではあるが、実はこの「アクセス問題」は大きなテーマでもあった。日々、通勤にバスを使うことの多いオリックス・バファローズの球団職員は、「サマソニの日などは、バスを2本見送ることも珍しくない」という。普段は経験則的にバスの混雑も予測できるというが、イベントの多い日などは、予想を超える混雑振りでバスに乗るまでが一苦労といったことのようだ。

そしてこの問題を、最も切実に捉えているのが大阪エヴェッサだった。舞洲中央に位置する「おおきにアリーナ舞洲」を本拠地とする大阪エヴェッサにとって、試合当日のアクセス問題は、観客動員に直結している。それだけに大平くんたちの組織を、大阪エヴェッサの元社長で、現在は顧問を務める上原光徳氏がアドバイザーとして面倒を見ることは、自然な流れの中で決まっていった。

発表に先立ち、上原顧問は「プロの目から見ればまだまだ未熟ではあるが、学生の熱意を汲んであげてほしい」と、舞洲プロジェクトのメンバーに挨拶。続けてアクセス改善プロジェクトの発起人である大平くんが挨拶に立った。そこで語られたのは、「舞洲プロジェクトの一環として、学生目線の自由な発想で、何か貢献できることを探していきたい」という思い、そして、その思いを込めて自分たちのグループに「学生舞洲プロジェクト」という名前をつけたという経緯だった。

 

 

続けて「アクセス改善プロジェクト」の具体的な説明に移った。発表者は「アクセス改善プロジェクト」のリーダーを務める田渕真羽さん(大阪市立大学1回生)。以下はその発表内容に沿って説明していく。

 

・企画趣旨

舞洲へのアクセスを改善→お客様の満足度を高める→舞洲のブランドイメージを高める

・企画に至る流れ

【混雑が発生している状況】

■大阪エヴェッサのホームゲーム開催時

■野外フェス、花火といったスポット企画開催時

■舞洲に勤務するビジネスマンの通勤時

■高校野球地区予選開催時(駐車場不足も同時に発生)

【バスの運行本数の不足】

■セレッソ大阪アカデミー生が実感

【情報の不足】

バスの位置情報、駐車場の空き情報などの確認手段が現状見られない

 

 この現状認識に対しては、概ね賛同の声が多かった。特に大阪エヴェッサはホームゲームが週末開催が多いにもかかわらず、週末はバスの本数が平日よりも少ないことから、来場者からのクレームとしてクラブが受けている現状があるため、改善に対しては特に積極的だった。

 

・交通機関への提案

■バス運行会社

不満の声を集約し、改善案を提案したい

■駐車場運営会社

現状分析結果からビジネススキームを組み上げて、提案したい

 

 

今後の取り組み

上記の提案を作成するために、「アクセス改善プロジェクト」が主体となって大阪エヴェッサのホームゲーム開催時に、実態調査を行いたいとの申し出があった。具体的には9月に各ターミナル駅で「おおきにアリーナ舞洲」に向かうバスを利用する乗客の利用状況を調査、その後、10月と11月の大阪エヴェッサホームゲーム開催時に乗客数のカウンティングとアンケート調査を実施するというもの。

アンケートは試合会場で回収し、回答者にはプレゼントも用意したいという提案だった。

アンケートは配布した用紙に記載されたQRコードをスマートフォンで読み取り、web上で回答してもらうという方法。

 

この提案に続き、実際に必要な人員確保、予算なども発表された。

実際のビジネスベースでの提案作成までには、紆余曲折が予想されるが、熱意あふれる学生の発表に対して、舞洲プロジェクトのメンバーは好意的な反応を示していた。発表が終わったときには、自然と拍手が起きていたことからも、それは明らかだった。

舞洲の発展に大きな意味のある提案だけに、今後も注目していきたい。

 

なお「学生舞洲プロジェクト」では、一緒にスポーツビジネスを通じて「舞洲の発展」を考える仲間を募集している。興味のある大学生は「舞洲プロジェクト事務局」までメールにてご連絡ください。お待ちしております。

 



「学生舞洲プロジェクトメンバー」

田渕 真羽(大阪市立大学 商学部 1回)

大平 航暉(大阪市立大学 経済学部 3回)

與語 一樹(大阪市立大学 経済学部 3回)

内山 若葉(関西学院大学 商学部 3回)

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