キッズのためのオンラインスポーツ教室「舞洲プロジェクト Presents KIDS’ ONLINE スクール」。
第1弾は、オリックス・バファローズによる野球編です。
安達 了一(あだち・りょういち)選手(#3)、福田 周平(ふくだ・しゅうへい)選手(#4)、西野 真弘(にしの・まさひろ)選手(#5)、吉田 正尚(よしだ・まさたか)選手(#34)、中川 圭太(なかがわ・けいた)選手(#67)のバッティング練習動画について、球団OBの小川 博文(おがわ・ひろふみ)さん、塩崎 真(しおざき・まこと)さんによる解説と、両氏によるバッティングについての実技指導を掲載します。
連載第3回は、小川さんが西野選手のフリーバッティングを解説します。
西野 真弘選手(#5) バッティング
力まないスイングがミート率を上げる
西野選手のバッティング練習を後ろから撮影した動画を見ると、いい練習をしているなと感じます。
西野選手は、プロ野球選手の中では決して大きい選手ではありませんが(※168cm)、ミートのうまい選手です。この「ミートがうまい」というのは、どのコースの球にも、しっかりとバットを合わせることができるということです。西野選手がルーキー時代、私はコーチとして見ていましたが、バッティングのうまさは最初から目立っており、能力の高い選手だなと感じていました。
この動画を見ると、西野選手は構えたところから、素直にバットを出すことができています。これは余計な「力み」がないからです。力んでしまうと、どうしても肩に余計な力が加わってしまい、バットの軌道が不安定になります。その結果、スムーズなスイングができなくなってしまいます。
また、内側からバットを出していることもポイントです。
打つときに力んでしまうという人は、ぜひ西野選手のバッティングを参考にしてください。
力まないということでいうと、グリップの位置にも注意が必要です。
最初は「雨の日に傘を持つ動作」を意識してみてください。右打ちの人ならば右手、左打ちの人は左手で、いつも通りに傘を持ってください。そしてその手を動かさないまま、もう一つの手をそこに持っていく。これが最もリラックスした構え方です。
とはいえグリップの位置そのものは、人によって異なります。例えば巨人の坂本勇人(さかもと・はやと)選手などは、とても高い位置で構えますよね。対照的にDeNAベイスターズの宮﨑敏郎(みやざき・としろう)選手のグリップの位置は非常に低いです。宮崎選手は私がDeNAのコーチ時代に見ていましたが、低い位置で構えた上に、そこでヒッチします。ヒッチというのは、トップを作る前の段階でグリップを一度下げる動作のことですが、宮崎選手はヒッチすることでタイミングを取っています。
自分なりのグリップの位置を決めたら、スイングに入る際、ピッチャー寄りの肩を内側に入れすぎないなど、肩のラインを気にしながらスイングするようにしてください。そうすることで、ストライクゾーンの見極(みきわ)めができるようになります。
中川圭太(なかがわ・けいた)選手などもそうですが、西野選手はもう一つ、大事な基本を意識した練習をしています。それは「インコースの球は引っ張り、アウトコースの球は流す」ということです。こうした基本を考えながら取り組むことで、練習効率を高めることができます。
実技:バットを内側から出す
バッティングは円運動ですが、バットを横に持って腰を回すだけでは「ドアスイング」になってしまいます。
「バットを内側から出す」ためには、ピッチャー方向にまっすぐ足を踏み出し、肩のラインもピッチャー方向に揃え、センター方向に打ち返すイメージでスイングしてみてください。
窮屈(きゅうくつ)なスイングになることもなく、バットを内側から出すことができるはずです。
小川 博文(おがわ・ひろふみ)
オリックス・バファローズ ジュニアチームコーチ。
1967年生まれ、千葉県館山市出身。
選手歴
拓殖大学紅陵高等学校-プリンスホテル-オリックス・ブレーブス/オリックス・ブルーウェーブ (1989 – 2000)-横浜ベイスターズ (2001 – 2004)
コーチ歴
オリックス・バファローズ (2008, 2010 – 2012, 2014 – 2015)
横浜DeNAベイスターズ (2016 – 2018)
俊足好打の内野手として活躍。社会人時代はソウル五輪日本代表として全試合に先発出場、銀メダル獲得に貢献。
プロ入り後は1991年にベストナインに選出。95&96年の優勝にも貢献。99年にはプロ通算5人目となる全打順での本塁打も達成。プロ通算1,720試合出場、1,406安打。